第1章 脅威の侵略者
ポンとエレベーターの到着音が響く。花織はその音に振り返った。この秘密基地と地上を繋ぐ唯一のエレベーターには一人の人物が乗っていた。見覚えの無い、スレンダーな女性だ。
「紹介しよう、新監督の吉良瞳子くんだ」
驚きの声が花織の周囲で挙がる。花織も驚き、新監督の瞳子を凝視した。長い黒髪で細身の綺麗な女性。年は23~25くらいだろうか、明らかに美人だと呼ばれる部類だろう。瞳子は黒髪を右手で掻き上げると無表情に言葉を放つ。
「ちょっとがっかりですね、理事長。監督がいないと何もできないお子様の集まりだったとは思いませんでした。本当にこの子たちに地球の未来が任せられるんですか?彼らは一度、エイリア学園に負けているんですよ!」
冷たい表情に馬鹿にするような口調と言葉をまき散らしながら瞳子がモニターの前へと歩み出る。失礼な人、それが花織にとっての監督の第一印象だった。出会ったばかりの人にどうしてそんなふうに言われなければならないのだろう。かつて冬海に告げられた言葉と同じくらいには腹が立った。ムッと花織が顔を顰める、だがそれは花織だけではなかったようだ。
「だから勝つんです!」
理事長に抗議を始めようとした瞳子に、円堂が叫ぶ。
「一度負けたことは次の勝利に繋がるんです!」
頼もしい言葉だ、チーム全員がそれに同調するように頷いた。瞳子は振り返りその様子を見る、皆その言葉を信じて疑わないというような表情をしていた。選手にもマネージャーにも誰一人エイリア学園に一度負けたぐらいで諦めるような人間はいない。
「頼もしいわね、でも私のサッカーは今までとは違うわよ」
皮肉のような言葉を瞳子が告げる。そして長い黒髪を翻しながら、円堂たちを振り返り勝気な笑みを浮かべた。
「覚悟しておいて」