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嫉恋

第7章 瞳に映る君





みんなが廊下で転倒するという大事故は、床の一部にだけ塗られたワックスのせいだったようだ。ほとんどの選手たちに怪我はなかったが、目金が壁山に押しつぶされたせいで足を捻ったと言い張った。

「なんでここだけツルツルするんだよー……」

塔子がムッとした様子で呟く。すると廊下脇の垣根の陰から声がした。

「ウッシッシ、ざまあみろ!フットボールフロンティアで優勝したからっていい気になって」

ツルピカールという商品名のワックスを片手に意地悪そうに笑ったのは、小さな青髪の男の子だった。どうやら漫遊寺の生徒の様であるが、こんなところで何をしているのだろう。だがそんなことよりも、彼の言葉に苛立ったのか塔子が苛立ちを表情に浮かべ、柵に手を掛けた。

「お前、よくもやったな!」

塔子の言葉に男の子が背を向け、逃げ去ろうとする姿勢を見せる。塔子は素早く柵を越えると彼を追いかけようとした。だが、追いかけるよりも早く彼女の悲鳴とドスンという大きな音が響く。他の面々が下を覗き込むと塔子は浅い穴の中で土塗れになっていた。どうやら、落とし穴に落ちたらしい。

「引っかかってやんの~、ウッシッシ」

そう言いながら穴をしかけた張本人らしき男の子は穴の中の塔子に向かって尻を振った。完全に挑発、というか子供じみた悪戯だ。何なんだアイツ……、と若干引いた様子で風丸が零す。他のメンバーも同じような反応だった。

「木暮ー!!」

どこからともなく怒号が響く。男の子はその声にヤバい、と言いたげな表情を見せると身軽な動きでどこかに行ってしまった。

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