第7章 瞳に映る君
「じゃあ僕は花織さんの写真、貰おうかな」
「俺も春奈と花織が映っている物は貰っておこう」
「……」
自重しない吹雪と開き直ったらしい鬼道が言う。風丸はますます不機嫌そうに顔を顰めながら黙り込んだ。この二人が本気でそんなことを言っているのか、ただ単に風丸をからかうために発言しているのか判別ができないところも腹が立つ、という風だった。
「風丸、顔が怖いよ」
ムッとした表情のままの風丸の肩を一之瀬が叩く。彼はほんの少し、呆れた様子で風丸に向けて笑みを浮かべていた。そして同じように呆れた様子の土門も携帯を仕舞いながら風丸に言った。
「送ってほしいなら言えばいいのにな。ま、風丸はいつでも実物が見られるからいいのか」「実物?」
「秋たち、記念にメイド服貰ってるんだよ。懐かしいなー……。そういや、メイド服着た花織ちゃん、風丸のこと"ご主人様"って呼んだんだよな」
「「えっ!?」」
今度は事情を知らない面子が驚く番だった。そういえば、そんなこともあったか。花織が勝手にメイド喫茶のメイドに嫉妬して、風丸をご主人様と呼んだ事件。あの後しばらく土門にはご主人様♪などと言われて、からかわれていたことを思いだす。
「……」
「いいなあ、風丸くん」
今度は鬼道が恨めしそうに風丸を睨む番だった。次いで吹雪も本心なのかよくわからない言葉を吐く。風丸は曖昧に笑って視線を逸らした。そうすることしかできなかった。ただあの時の言葉を思い出すと嬉しいはずなのに、気恥ずかしくてたまらない。
「そういうわけで、風丸はいらないよな、写真なんて」
「……」