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嫉恋

第6章 煌めきのひととき



***

監督の指示通り吹雪をセンターバック、花織をサイドバックに置いて試合がスタートした。風丸はホイッスルと同時に駆けだす。脳裏には先ほど鬼道が試合前に掛けてきた言葉が反芻していた。

"俺も花織を出すことには本当は反対したい。……だが、花織が戦力になることも事実だ。大丈夫だと信じるしかない、アイツは俺たちの練習についてこられるだろう"

大丈夫、本当に気休めにしかならないが信じるしかない。風丸はそう思いながら試合に挑んだ。

だが、彼らにはいい意味で誤算があった。あのスノーボードによる特訓をしたからだろうか、ジェミニストームの選手たちの動きがはっきりと見えた。それは風丸たち選手にだけではなく、花織にも当てはまることであった。

まともな試合が行えている、花織もチームの一部として機能していた。エイリア学園との力量もさほど離れていないように思えた。シュートを受けるキーパーならともかく、フィールドプレイヤーと対なら問題ないかもしれない。

「疾風ダッシュ!!」

花織が彼の必殺技を叫んで走る。彼女から繋がれたボールが自分のところへ回ってくる。スピードが奴らに追いつけているからだろうか、心に少し余裕がある。花織と同じフィールドで、仲間として戦うのは初めてかもしれない。でもどんなところにいたとしても、彼女の走る姿は綺麗で目を奪われる。……心からそう思った。

以前よりも早くなっているスピード。花織もきっとかなりの練習を陰ながら積んでいた事だろう。恐らく、風丸を目標にして。だから風丸は誰よりも速い存在でありたかった。いつまでも花織の尊敬に値するスピードを己だけが持ち続けていたかった。

しかし今、自分の自慢のスピードは霞んでしまっている。エイリア学園や新参の吹雪士郎のスピードで。

それを悔しく思いながらも上辺には出さず、彼はパスを送った。
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