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嫉恋

第6章 煌めきのひととき



***

「痛……っ」

すてん、そんな効果音が付きそうな勢いで花織は雪の中に尻餅をついた。選手たちよりも練習時間が少ないせいか、中々上達しない。転ぶ回数は少しずつ減っているし、スピードも少しずつ出てきているがやはり皆の上達スピードには追いつかない。

「花織、大丈夫か?」

慣れた様子で風丸が花織の傍まで滑り降りてくる。彼は朝練の成果もあってかとても上達している。障害物として設置されている雪玉を避けることも容易になっていた。彼は心配そうに花織を覗き込んだ。

「怪我、してないか?」
「うん……。でも本当に中々上手く滑れなくて。早く一郎太くんと並んで滑りたいのに」

早朝、練習の時はよろしくとは言ったものの、練習レベルに差が付きすぎて一緒に練習するに至れていなかった。悔しそうに呟き、花織は俯く。風丸は花織の怪我が心配やら、彼女の発言が嬉しいやらで何とも言い難い表情をした。その場に止まりつつ、風丸は花織の肩を叩く。

「焦る必要はないさ。……俺に教えるほどの技術はないが、花織に合わせて滑ることはできる」

風丸が諭すような口調で言う。だが花織は首を振った、そう言った風丸に対して花織は少し厳しい目をして見上げる。

「それはダメ。私のレベルに合わせてたらレベルアップなんてできないでしょ?一郎太くんは自分のペースで練習してほしいの」
「……そ、そうだな」

花織の勢いに押されて風丸が言葉を詰まらせる。花織は他人にレベルを合わせられるのを嫌う。以前、一緒に練習していた時は風丸が少しでも手を抜こうものなら、滅多に怒ることの無い花織が不機嫌そうに指摘をするのだ。
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