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嫉恋

第6章 煌めきのひととき




「早く行かないと、キャプテンが待ってるよ」
「あ……」

風丸は花織の言葉にハッとして声を漏らす。そういえば、円堂を先に行かせたままだった。花織と二人っきりになったことで彼はすっかり円堂のことを忘れていたのである。風丸は苦笑しながら頭を掻く。

「そうだな。……花織、一緒に練習しないか?」

若干、まだ気まずさがあるのだろう。どことなく会話がぎこちない。風丸は花織とまだ一緒に居たかった。久しぶりにこうやって真っ向から話ができたのだから、まだ離れたくないと思っているのだ。しかし花織は風丸の提案に申し訳なさそうに首を振る。

「ごめんね。できることなら一緒に練習したいけど、そろそろ朝食の支度をしなきゃ」
「そうか」

心なしか残念そうに風丸が眉根を寄せる。花織は困ったように微笑んで髪を揺らした。花織もできることならば一緒に練習したいと思う。だがマネージャーとしての仕事をさぼるわけにはいかない。

「でも、……今日の練習には参加するつもりだから。その時は一緒に練習しよう?」
「!そうか、わかった」

花織の返答に彼はコロコロと表情を変える。花織は彼の表情が綻ぶと同時に彼の頬に素早くキスを落とした。再び不意を突かれて風丸が驚きの声を上げる。花織は悪戯っぽく微笑むとさらりと髪を揺らした。

「朝練頑張ってね、一郎太くん」
「……ああ!」

風丸も花織につられて微笑んだ。スノーボードを抱えなおして円堂が待つゲレンデへと掛けて行く。花織はその彼の後姿を手を振って見送った。彼のポニーテールが揺れている。……私も頑張らなきゃ。

花織も意気込みを新たにして校舎へと戻る。彼らの力の源になる食事を準備をするために。上機嫌に花織は校舎へと急ぐ。建物の陰から雪を踏みしめる音が聞こえた。
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