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嫉恋

第5章 心の駆け引き




静かに空からは雪が舞い落ちる。先ほどまでは星が輝いていたのに、いつのまにか月に雲がかかりハラハラと雪が降り始めていた。それを見て花織は忘れていた寒さを思い出す。身を縮めて身震いすれば風丸がそれに気が付いた。

「とりあえず、校舎に入ろう。外は寒いからな」

風丸は静かな声でそう言った。そしてそっと花織に手を差し出す。花織は驚いて風丸と彼の手を見比べた。彼は無表情、いやどこか切なげな表情を浮かべている。花織が恐る恐る彼の手に自らの手を添えれば、彼は花織の手を取って歩き始めた。

世界は静まり返っていた。ふたりが雪を踏みしめる音以外には、何も音を響かせない。校舎の中に入ってもふたりの足音だけが、廊下に響く。二階、階段脇の踊り場。不意に風丸は立ち止まった、花織は怪訝そうに彼を見る。

花織たちが間借りしているのは三階の教室、この階でないことは風丸も知っているはずだ。ふいに手を離され、花織は彼を呼ぶ。

「一郎太くん……」
「花織」

彼は何か言いたげな表情をしている。だがどうやら言葉が出てこないようで、気まずげに視線を泳がせている。彼は花織に問いたいことがたくさんあった。だがそれよりも先に花織は目を伏せ、彼に話を切り出した。

「聞いてほしいことがある。……フットボールフロンティアで優勝したら、一郎太くんに聞いてほしいって言った話。……聞いてくれる?」
「……ああ」

風丸は頷く。踊り場の窓から月の光が差し込んで二人を照らした。

「私は、私は……、今でも一郎太くんのことが好き。今までずっと一郎太くんを傷つけてきたけど……。それでもやっぱり一郎太くんが好き」
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