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嫉恋

第5章 心の駆け引き




増幅する焦りと吐きそうなほどの劣等感。

吹雪を歓迎したいのに、同時にここに居ないで欲しいとも思う。

そしてそれは速さだけに限ったことではない。愛してやまない彼自身の大切な人にも関係する。

吹雪は明らかに花織に対して好意を持っている。それが恋愛感情であるかどうかは定かではないが、花織を気に入っていることは間違いない。でなければあんなに長い時間、花織の傍にいる必要なんてないだろう。夕食の時間から消灯まで、入浴時間を除いてほとんど吹雪は花織の傍にいた。

触れるな、話しかけるな、見るな。

どうして花織の隣にいるんだ。

自分にそうする資格なんてないはずなのに、風丸の心はその気持ちでいっぱいになる。自分という存在が吹雪に掻き消されてしまうようで、居場所を奪われるようで。

自分が堪らなく無力に感じられた。


―――――もっと俺に力があれば。

エイリア学園を倒すこともできる、誰よりも速い存在で在り続けられる、花織の傍にいる資格が得られるのに。

「風丸、ここにいたのか!」

掛けられた言葉に風丸は思考を止める。行き場の無い鬱々とした気持ちを心に留めたまま、キャラバンの梯子を上ってきた円堂を一瞥した。
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