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嫉恋

第5章 心の駆け引き




楽しい食事の時間から数時間後、寝静まるキャラバンの上に彼はいた。ボンヤリとした様子で星を眺めている。どこか意気消沈したようでただ白い息を吐き出していた。あたりは凍えるほど寒いのにそんなことは全く気にしていないかのように。

彼、風丸一郎太は胸の中に溢れ出る不安と嫉妬を持て余していた。

この頃ずっと自分の気持ちが制御できなくなりつつあるのを風丸は感じ取っていた。エイリア学園が現れてから自分の気持ちが落ち着くことなどなく、ずっと緊張と重たい責任の中に彼はあった。

彼はこのチームの中で誰よりも速さを持っていた。彼が持ち前のスピードでボールを奪うことはチームメイトとしての彼の使命であった。それは彼にとって誇らしい仕事であると同時に、それが果たせないことに対して屈辱的な思いでいた。

そんな時、吹雪士郎が現れた。

フォワードもディフェンダーも、そつなくこなしてしまう吹雪。今まで誇りにしてきた自分のスピードをあっさりと追い越し、彼は余裕綽々で笑う。風丸が努力で得てきたものを難なく得て、フィールドでの風丸の役目を脅かす。

吹雪の存在を頼もしいと思う、だが同時に脅威だと思った。

アイツは俺より速い、圧倒的に速い。絶望的なまでに。俺よりも速い奴がエイリア学園に止まらず、存在するということが堪らなく悔しくて、俺自身のアイデンティティを奪われるようだ。
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