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嫉恋

第5章 心の駆け引き




染岡は憎々しげに吹雪を睨み付け、吐き捨てるように言う。

「どんなにスピードがあろうとこんな自分勝手な奴と一緒にやれるか!!……無理なんだよっ、コイツに豪炎寺の代わりなんて!」

染岡もきっと意地になっているのだ。雷門のエースストライカーは豪炎寺修也、それは染岡の中で絶対に揺らがせたくないこと。もしここで吹雪を認めてしまうようなことがあればきっと豪炎寺の居場所がなくなる。……そんなことを思っているのかもしれない。

「それはどうかな」

悪くなる空気の中に落ち着きを払った声が割り入った。花織はハッとしてそちらへ意識を向ける。彼は凛とした表情を浮かべ、チームメイトを見据えていた。

「俺は吹雪に合わせてみる」

そうはっきり宣言したのは風丸だった。花織はさらりと髪を揺らして彼の方へと向き直った。彼の様子がいつもと違う、いつもならもっと明るく頼もしいはずなのに。……今日の彼はどこか鬱々としているように見えた。

「はあ?お前何言って……っ」

そう言い掛けた染岡も口を噤む。どうやら風丸の様子がいつもと違うことに彼も気が付いたらしい。風丸は険しい表情をして少し俯き気味に言葉を続けた。

「俺にも吹雪のあのスピードが必要なんだ。エイリア学園からボールを奪うのは、あのスピードがなくちゃダメなんだ。……そうでなきゃ、また前の繰り返しだ」
「……!」

どきん、と花織の心臓が大きく鼓動を打った。それはときめきとは異なるもので、何となく不安を煽るような拍動であった。風丸の様子がどうにもおかしい。……もしかして、責任を感じているのだろうか。

花織は彼の表情から様々な推論を立てる。いつも彼の表情を観察している花織にだからこそできることだ。彼はもしかして自分がエイリア学園からボールを取らなければという責任を重く感じているのではないだろうか。彼一人が気に病むことではないのに……、彼は責任感が強いから。

「だったら、風になればいいんだよ」

ずんと空気が重くなったかのように思われた刹那、吹雪があっけらかんとした声でそう提案した。雷門イレブンは吹雪の方に視線を送る。吹雪はいつものように微笑を浮かべて、どことなく自信満々に皆に言った。

「おいで。見せてあげるから」
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