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嫉恋

第4章 雪原の皇子




今まさにボタンを押そうとしていた花織の名が、彼女の背後からよばれた。驚いて花織は振り返る、するとそこには少し怪訝そうな表情をした吹雪士郎が立っていた。どうやら校舎から出てきたらしい彼は、そこにいるのが花織であるかという自身がなかったようだが、花織であったことが認められると柔和な微笑を浮かべた。

「吹雪さん……?」
「やっぱり君だったんだ。校舎の窓から君の姿が見えたから気になったんだ」

雷門イレブンが泊まるからと白恋のメンバーも校舎に宿泊している。もっとも、彼も今日付けで雷門イレブンの一員になったのだから一緒に泊まること自体は何ら不思議ではないだろう。

「そうですか……」
「うん。こんなに寒いところで何してたの?」

花織は吹雪が印象として少し吹雪が苦手であった。悪い人ではないとは思うのだが、試合時の性格の変貌が何とも受け入れがたいものがあるし、何より吹雪の様な人物を今までに友人として持ったことがないからどういう風に接すればいいのかわからないのだ。

「雪を見ていたんです。街灯に照らされてすごく綺麗ですから……」
「東京ではあまり降らないんだってね。……君の言うとおり、雪はとても綺麗だよ。一つ一つ結晶になっていて、それもみんな形が違う。凄く綺麗だ」

花織は吹雪に視線を寄せた。奇遇だが、どうやら気は合うようである。吹雪は花織にふっと微笑みかけると少し視線を外して空を見上げた。心なしか、花織にはその彼の表情が寂しげに見えた。

「でも……、雪は綺麗なだけじゃない」
「……?どういうことですか?」

花織が吹雪の言葉に首を傾げて問いかける。吹雪は花織を見て何でもないよ、と首を振った。彼は何か口にしかけたようだが、それを花織に話す気はないらしい。柔らかな微笑でその場を誤魔化し、彼は別の話題を提示した。
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