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嫉恋

第1章 脅威の侵略者


***

いつの間にか、宇宙人は忽然と姿を消していた。後には宇宙人の残した破壊の爪痕が残っているだけだ。彼らは絶望を表情に浮かべながら、部室が立っていた場所へと自然と集まった。部室は元々古く、ぼろぼろであったがもう今では見る影もなく、瓦礫となって朽ち果てている。あたりには部室の中にあった円堂大介のノートやその他備品が転がっている。唯一無事で済んだサッカー部の看板が、この瓦礫の山が確かに部室であったことを裏付けていた。

「恐ろしいシュートだった。スピードもパワーもあんなの見たことない」
「ああ……。世宇子でさえ、さっきのシュートに比べたら……」

鬼道が呟いた言葉に風丸が同調した。妙な事だろうが、想い人が一緒であり互いに取り合う関係にある二人の仲は意外にも悪くない。むしろ年齢の割には落ち着いた面などから、鬼道と風丸は互いに気が合うようだ。殊に、花織を心配するという点では互い以上に共感できるものはいない。

「マジン・ザ・ハンドでも止められないなんて……」
「いや、技を出す間もなかった。……そうだろう、円堂」

ああ、と円堂が力なく呟く。その声を聴く風丸の傍で、微かに声がした。その声は鬼道にも聞こえたようで、ふたりはすぐさま声の主を振り返る。花織だった。

「酷い……」

花織は両手で口元を覆って呟く。悲しげに細い眉が寄せられるのを、もちろん彼らは例外なく見ていた。花織は特別部の誰より部室に思い入れがある、というわけではない。だがそれでも、この瓦礫の山を目にすると目頭が熱くなるほどには悲しかった。悲壮感を漂わせる花織に彼は堪えられず、言葉を掛ける。

「花織……」

花織は唐突なことにどきりと心臓が音を立てるのを感じ、驚いて振り返る。声を掛けた彼、風丸一郎太はハッと我に返り、しまったというような表情をして花織から視線を逸らした。本当は声を掛けるつもりなど無かったのだ。彼らはバスの中では仲良くしてたとはいえ、現在気まずい関係にあるのだから。
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