第12章 婚星(よばいぼし)、君を抱きしめる ✳︎✳︎
「たくさん、出ましたね……」
「君の中はとても気持ちよかったからな」
両頬が包まれ、柔らかな口付けが一粒唇に降る。
それから杏寿郎さんは私のお腹についた白濁を、近くに置いてあった懐紙で綺麗に拭きとってくれた。
呼吸をお互い整い終えた後、彼が私を自分の太腿に向き合うように乗せる。腰に回るのは大きな両手だ。
「まだ硬いような気がします……」
「ああ、そうだな」
「………」
「………」
二人の間に生まれる沈黙が心地良かった。これってまだ………続きあるんだよね?
「あの……」
「ん?どうした?」
私をみる眼差しがとても優しく、それだけで胸がギュッと掴まれた。この顔好きだなあ……
「私…杏寿郎さんと恋仲になれて、改めて良かったなあって思います」
「嬉しいな。それは俺も同じだ…七瀬」
「ん、」
彼が気持ちのこもった口付けを再度くれる。自分の心が愛おしさでいっぱいになっていく。
「君との口付けも癖になりそうだ」
最後にちう……と吸い上げて、杏寿郎さんが唇を離した。
「だから、何度でもしたい」
私も同じです、杏寿郎さん。
私の短い髪に優しく優しく、手を通してくれる手からあたたかな気持ちが伝わって来るようだ。
「君は本当にかわいいな」
「ありがとうございます。好きな人からの”かわいい”は物凄く嬉しいですよ」
「しかしな、七瀬」
「どうしました?」
私は返答を待つ。なんだろう??
「今こうして俺の腕の中にいる君は……凄く綺麗だ」
「えっ、泣いても良いですか」
じわっと目尻に涙が滲む。するとカラッと笑う杏寿郎さんである。
「ははは!泣くのか」
「だって…」
「どうした?」