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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎



「あっ……上がってますね。今日はやっぱり特別綺麗に見えますよ」

「うむ!綺麗だな。しかし七瀬、俺には先日とあまり変わりがないように見えるが……」

七瀬はすぐ後ろにいる彼をチラリと見ながら笑ってしまう。

「杏寿郎さん、こう言う時の返答は”綺麗だ”だけが適切だと思います」

「む?そうなのか?」

「はい!」

七瀬はにっこりと笑いながら、彼に向かって頷いた彼女。それから再度、明けの明星に目線を戻す。

因みに二人の折衷案は、と言うと——
縁側に座って体を密着させたまま見る…と言う事に落ち着いた。
後ろから杏寿郎が#NAMEを包み込むように抱きしめている。

回っている両腕にそっと自分の二つの掌を当てると、彼女の髪に顔を埋める彼。七瀬は思わず身を捩る。

「すまん、くすぐったいか?」

「はい…でもこれ、好きです……」

杏寿郎にしてもらう事はなんだって好きなのだ。
これは口に出すのが恥ずかしかったので、心の中に留める。

「そう言えば、明けの明星はいつまで見れる?」

「えっと…今回は夏に見え始めたから、ニ月ぐらいまで見える周期だったような?杏寿郎さんのお誕生日の時期には宵の明星になっていると思いますよ」

「そうか、それも楽しみだ」

「……………」

「…………」


七瀬は彼と話すのも大好きだが、この沈黙も大好きだ。無理して話さなくても安心出来るし、杏寿郎ををより近くに感じる事が出来るから。

「太陽も出て来ました」

東の空の色合いが紫紺から橙色へと完全に変わった。新しい朝の始まりだ。


「今日も始まったな!」

「……はい」
くるりと体を向けられると、今度は七瀬のすぐ近くに2つの朝日があった。彼の双眸だ。

「稽古します?」

「ああ、しかしその前に…」

“後もう少しだけ、恋人の君との時間を味わいたい”

低音の囁きが届いた次の瞬間、七瀬の唇に届いたのは朝の太陽と同じくらい力強く。そして温かな口付けだった。彼の首に両腕を回すと、二人の距離がぐっと近づく。

夏が終わり、新しい季節がやって来た。杏寿郎と過ごす季節がまた一つ増える。どんな風に過ごせるのだろう。そんな楽しみを思い描きながら、七瀬は恋人との時間を稽古が始まるまでしっかりと味わった———


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