第12章 婚星(よばいぼし)、君を抱きしめる ✳︎✳︎
“好きな人から言って貰う綺麗は本当にそうなるんだよ”と。女性隊士から聞いたと告げると、楽しみだ!と言う彼だ。
両頬がそっと包まれ、額がコツンと重なる。
『大好きなあなたに”綺麗”って言ってもらえて本当に幸せです』
当たっている額からどうか伝わりますように…と気持ちを送ってみた。
「続けるぞ」
互いの額が離れる前に、一つ小さな愛撫が落ちる。
そうして私はこの日何度目になるかわからない口付けを貰い、濃密な夜の予感に心を揺さぶられ、2人で混ざり合い、溶け合った。
獅子座の流星降るこの夜。
獅子を彷彿させる愛しい人に、たくさんたくさん愛情を降り注いでもらった。
そして、私は夜空を彩るたくさんの流星に2つ程願いをかける。
“杏寿郎さんとずっと一緒にいれますように”
そして ———
“どうか……来年も一緒に流星群をみれますように”
この日のしし座流星群は極大と言って、数多く星が流れる中でも最も多く星が流れる夜だったと言う。
愛しい人と心も体も結ばれた私は、彼と一緒に新しい夜明けを迎えた。
巧………あなたと同じくらい大事に思える人を見つけたよ。
今度二人で一緒に会いに行くから、待っててね。
〜七瀬から見た景色〜 終わり