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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第12章 婚星(よばいぼし)、君を抱きしめる ✳︎✳︎



「あ……」

小さく声が漏れる。私の胸は彼の掌にちょうど収まる大きさだった。

「かわいい大きさだ」

フッと笑みをこぼす杏寿郎さんは、そこから掌を移動させ、寝間着の合わせ目にたどりつくと、侵入するようにあたたかな手を差し込んで来た。

「手触りも良いな……では」
私の寝間着を結んでいた紐をスルッと解き、合わせ目をグッと開く。

「やだ……」

羞恥心から両手で胸を覆ってしまった。

「こら、隠すのはやめなさい」
「だって、恥ずかしいです……」

両手首がゆっくりと離されると、彼はそこをじいっと凝視しながら、顔を少しずつ近づける。すると私の顔に熱が集中していった。


「……うむ。大きさもだが、形も俺好みだ。隠されるともっと見たくなる」

左の尖った蕾がゆっくりとあたたかい物で覆われた。
杏寿郎さんがじっくりじっくり味わいながら、舌を周囲に絡めていく。右の蕾は親指と人差し指で、羽根に触れるように優しく愛撫された。こする、つまむを繰り返されるとまた高い声が漏れてしまう。


気持ち良かったからだ。胸に触れられるだけで。
直接”気持ちいい”と言葉に出すと、片方の蕾は指で優しく触れられたまま、下へ下へと彼の唇が降りる。


「困ったな。どれもこれも俺好みだ……もっと君を知りたい」

着ていた寝間着と羽織を完全に取り払われ、纏っていた下着もスッと外されてしまった。

「や……」
文字通り一糸纏わぬ姿にされた私は、杏寿郎さんが着ている隊服に手を当てた。

「どうした?」
「いえ……私だけだと恥ずかしいので……杏寿郎さんも脱いでもらえませんか」


「……!」

彼の目がまた一層と大きく見開かれるけれど、次の瞬間には妙案を思いついたとばかりにフッと笑う。そして、こんな提案をして来た。

「では七瀬、君が脱がせてくれ」
「え、私がですか」
「そうだ」

彼はそう言った後、隊服に当てていた私の手を掴むと第一ボタンの位置に導いた。


「……早く」
「は、はい……」

艶っぽい上目遣いに観念した私は、少し震えている手で柱の証である金のボタンを順番に外して行く。続けて下に着ていた襯衣(しんい=シャツ)のボタンも全て外す。


「……外しましたよ」
「ありがとう」

炎柱の羽織と襯衣。
二つが同時に布団へ落ちると、彼の鍛えられた体躯が私の視界に入って来た。

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