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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第12章 婚星(よばいぼし)、君を抱きしめる ✳︎✳︎



✳︎七瀬から見た景色✳︎

「寒いなあ」
冬の訪れを朝晩の気温で感じるようになって来た十一月中旬。

私は羽織を二重三重にする、と言ったできる限りの防寒をして煉獄邸のお庭に出ていた。時刻は二十三時を回ったあたりだろうか。

先週街を歩いていた時、昨日から今日明日にかけてしし座流星群が見れると聞いて、心待ちにしていたのだ。
今日が非番で本当に良かった。

まだ家族全員で暮らしていた頃、父が兄と私を自宅の庭に連れて出てくれて三人で流星群をみた。

本当に文字通り、たくさんの流星が夜空から降りそそぐ様を目の当たりにして、私は小さいながらも感銘を受けた。

願い事、お兄ちゃんとたくさんしたっけ……

今日もたくさんお願い出来ると良いな。そう思って夜空を見上げていると、東の空からキラリと流れ星が現れた。

「来た!」
その一つの流星を筆頭に息つく間もなく、星が流れ始めた。

凄い……!小さい頃みたものと同じだ……。キラリ、キラリと次々に星が現れる。

あ!願い事しなきゃ!私は急いで目を瞑って願いを思い描く。えっとえっと……

『師範に思いが届きますように……』

心の中で三回繰り返した。どうか、どうか叶いますように。
その師範、今日は任務に出かけており、不在にしている。


「一緒に見たかったなあ」

つい、声にも出してしまった。
ゆっくりと周りを見渡して、誰も聞いてなかった事にホッとした私は寒さも忘れて、引き続き夜空の星達に見入っていた。


ブルッと体が震える。一時間も外にいると流石に体が冷えて来た。
でもまだ見ていたい。だって次回この流星群が見れるのは一年後。
もしかしたら……自分の命はないかもしれない。


そう思うとなかなか家の中に入る事が出来ず、相変わらずたくさん流れる流星を目にしながら私はその場に留まっていた。


「うむ!見事な夜空だな」
「え?」

振り返ると、隊服姿の師範が私と同じように夜空を見上げながら、そう言った。全然気づかなかった。

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