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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第12章 婚星(よばいぼし)、君を抱きしめる ✳︎✳︎




「そうか」
「やっ、それはダメです……」

俺は彼女の背中に唇をそっと近づけた。そこは先程まで触れていた頬や胸と同じく、滑らかで非常に触り心地が良い肌だ。
右上から辿るようにゆっくりと小さな雨を数滴ずつ落として行く。

そうして左下まで辿りつくと、最後に落とした雫を掬い上げるように、音を出して吸い上げた。


「では、この傷も俺だけのものだな」
「ん、ぁ……」
「またかわいい声を出してくれる。顔が見れないのが残念だ」


今度は左下から右上にかけて、優しい雨を数滴ずつ落としていく。
真ん中にたどりついた俺はここで一度口付けを止める。


「七瀬は誰にも渡さない」


最大限の独占欲を出した言葉を発した後、右上に向かって一つ一つキツめの口付けを落として行った。

彼女の背中を改めて見る。自分が丁寧に水やりをして咲かせた赤い花。それらが輝くように、綺麗に舞っていた。


「傷の近くに君が俺のものだと言うしるしをつけた」
「え?」

七瀬が息も絶え絶えにしながらこちらに振り向く。その顔がとても愛い。

「君と俺だけの秘密、と言いたい所だが…胡蝶には見られるやもしれんな」
「もう……いじわる……あん…」

背中の傷をそっと撫でながら囁くと、そこに置いていた手を胸に滑らせ、先端の尖りに触れる。すると質量と弾力が増していく。


「はあっ……」
「まだ始まってもないぞ」

彼女の息が再び上がりそうになる。すまんな、ここからが始まりだ、七瀬…
恋人の体を自分の方に向けて布団に寝かせた後は、耳たぶを甘噛み。七瀬の口から甘い吐息がこぼれる。


続けて耳の中を丁寧に味わった後は、首に向かって口づけを落としながら下に下に辿っていく。また甘い吐息と可愛らしい声が響いた。

「んん……」
「七瀬」

目を瞑っている彼女のすぐ上から名前を呼ぶと、ゆっくりと焦茶色の双眸を開いてくれた。そこに映る自分は先程と一緒で、あまり余裕があるようには見えない。

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