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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第11章 音柱・宇髄天元



そして、天元は単刀直入に杏寿郎へ問うた。

「お前好きなんだろ?沢渡の事」

「……よく、わからん!何しろこんな思いをするのは初めてでな。彼女を見ていると、おかしくなるのだ」

「へえ、それってどんな感じ?」

「うむ。まず鼓動がすこぶる速くなる。しかしそれとは逆にじわじわと波が広がるように、胸があたたかくもなる。共通しているのはどちらも非常に心地良いと言う事だな!」

「……念の為に確認するが、そうなるのって沢渡だけか?」

「無論!!」

はっきりと肯定する杏寿郎はやはり眩い。
天元は彼のこう言う性分が特に好ましいと普段から感じている。


『間違いねぇ、煉獄はあいつに惚れてる。これだけ確定要素が集まってるのに、わからないもんか?』

音柱は顎に右手を当てて思案するが、すぐにそれを中断した。

『やめた。俺が考えてもどうしようもねえ。こっからはこいつが気づかないといけない事だ』

ふと彼は何かを思いつき、それを杏寿郎に提案する。


「じ、実践編か??」

「そ、言葉だけじゃ理解出来ない部分もあるだろ?お前が指南書一つで炎の呼吸を取得したのは勿論知ってる。けどな、色恋はまた勝手が違うと思うぜ」


再び杏寿郎の顔が赤く染まった。
目を瞑り、腕組みをしながら思案する事十秒と少し。彼から「頼む!」ときっぱりと返答が飛び出したのだった。


「りょーかい。今日はお前も時間に余裕ないだろうから、また次だな」

「承知した!」


こうして二人は「後日続きを実行しよう」と約束を交わし、必ず任務から戻るとも誓い合う。
天元は門扉から任務に颯爽と向かう炎柱を見送った後、自分も身支度を始めた。


それから一週間後、炎柱は音柱からみっちりと実践編の講義を受ける。さて、彼は一体何を学んでいるのだろうか。


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