第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
「すまんな、また呼んでしまって」
カナヲとの任務を終えた次の日の昼食後、七瀬は再び槇寿郎から呼ばれて和室にいる。
「いえ、大丈夫ですよ。それから今朝千寿郎くんが以心伝心で塩大福を買って来てくれたので、宜しければ食後の甘味にどうぞ」
持っていた盆から大福が乗った小皿と麦茶が入った湯呑みを槇寿郎の前に置き、自身も座布団に腰掛ける。
「ありがとう。これは人気でなかなか買えないそうだな」
「そうなんです、今日は運が良かったと凄く喜んでいました」
いただきます…と互いに手を合わせ、それから共に大福を食べ始めた。今日も絶妙の塩加減のようで、二人の頬もほころぶ。
半分程食べ終わった所で、七瀬は名前を呼ばれた。
麦茶を一口飲み、口腔内にあった残りの大福を喉の奥に流し込む。
「あまり君に重圧を背負わせすぎないでほしい。千寿郎にそう言われた。確かに自分の日輪刀の色が変わらない—それは継子の七瀬さんが炎柱である杏寿郎の後継になると言う事だが……」
「えっ……そんな事を千寿郎くんが?」
「ああ」
七瀬は本当に驚いてしまい、言葉が引っ込んだ。
「継子の前に杏寿郎の恋人である君の気持ちも大事にしてあげたい……そう言っていたぞ」
「そうですか…。それは私が弱音を吐いてしまったからかもしれませんね」
そして昨日千寿郎言った言葉と全く同じ事を、七瀬は槇寿郎にも伝えていく。
「七瀬さん、そう感じてしまうのは当然だ。他に手立てがないのだからな。俺も恐らく君と同じように考えてしまうだろう」
「えっ……槇寿郎さんがですか?」
「ああ。俺は杏寿郎や千寿郎のように、心が強いとはあまり言えない。だから瑠火が亡くなり、日の呼吸の事を知った時に堕落してしまった」
「………」