第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
「………っ!」
ポタ、ポタ、と七瀬の両目から一滴ずつ涙が流れ、右目から出た雫は鼻を通り、そのまま口元まで落ちた後、塩辛い味が唇にたどり着いた。
「……本当に?」
「本当ですよ、嘘じゃありません…」
「千寿郎くん、私に遠慮とかそう言うのは…」
「してません」
穏やかな彼が珍しく口を挟んだ。
「自分は努力したけど、日輪刀の色は変わらなかった。それが現実です」
「…………」
七瀬は何も言えなくなった。
「俺は七瀬さんがいてくれて良かったと思います。兄上の…炎柱の後継の方ですから」
「…この事、杏寿郎さんには?」
「一ヶ月前に少しお話してました。もしかしたら変わらないかもしれない…と」
「そっか……」
千寿郎は流星群を一緒に観た時はもう話していた。
自分の名前の数だけ星が流れると言う事にとても感動した。あの時、彼はそう言った。
四人で一緒に観る—— そんな約束をした時、今から凄く楽しみだと嬉しそうに言っていた様子が七瀬の脳内に蘇る。
「流星群、一緒に観測しましたよね。あの日に変わらない事がハッキリとわかったんです」
「そっか……」
「でも七瀬さんが一緒にしし座流星群を観ようって言ってくださって、俺は本当に嬉しかったんです。ああ、この方が兄上の継子で良かったなあって」
「…ありがとう」
両目から溢れて来る涙を七瀬は拭うが、次々と流れてしまっている。
「でも、七瀬さん。あまり重く捉えないで下さい」
「え……?」
「兄上が気にされていました。継子は確かに柱の後継ですけど、恋人でもある七瀬さんにそれらを背負わせて良いのか…と」
「そっかあ……」