第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
「お互いの関係性が友人の場合…鬼の頸さえ将門塚に献上してしまえば、焼き印が浮かんでいる際の不都合は無いと書いてあります」
“友人であれば不都合はない……”
と言う事は?
「お互いの関係性が恋人の場合—— 」
★
「杏寿郎さん、本当にごめんなさい。巻き込んでしまって…」
全ての話が終わり、七瀬と杏寿郎は煉獄邸へと帰宅した。
自分の部屋の文机の前で彼と向き合い、先程からずっと頭を下げたままの彼女である。
「七瀬、一度顔を上げてくれ」
彼の両手が七瀬の頬を包み込んだ後、ゆっくりと上へと向かされた。
「起きてしまった事を悔いても仕方がないぞ。大事なのはこれからどうしていくか、だ」
左右の親指が彼女の目から流れていた雫を拭うと、目の前の杏寿郎が柔らかく温かい唇を七瀬の唇にそうっと当て、数回音を響かせながら口付けた。
「落ち着いたか?」と言う声と共にポン、と大きな掌が頭上に乗る。
「はい……ありがとうございます」
杏寿郎にぎゅうと抱きつくと、彼も両手を回して七瀬を包むように抱きしめてくれる。
“関係性が恋人の場合——— 焼き印を付けられた者の愛情が、牡牛座の者の体に蠍の蠱毒として少しずつ入り込んでいくようです。十二鬼月の頸を将門塚に献上出来なければ、その蠱毒を受けた者は—“
“内部から体を喰われる——— そう記されています”