• テキストサイズ

沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第45章 霞柱・時透無一郎



「伍ノ型・炎虎!」

杏寿郎が選択したのは、己の得意技であるこの型だ。唸り声をあげながら霞を焼き斬っていく様子を視界が悪い中、確認した無一郎はふうと一つ息をついた。

連撃でいこう。
しかし、朧は霞の呼吸の奥義と言ってもよい技である。今の自分にそんな余力はあるのか。

少しだけ迷いが頭の片隅をよぎるが、炎柱に勝利する為にはそのような時間さえも惜しい。

「(朧を出してしまったから何だ。煉獄さんだって歳下の自分に本気で技を見せてくれている。きちんと応えるのが道理だ!)」

参ノ型 —— 霞散の飛沫(かさんのしぶき)・肆ノ型 —— 移流斬り(いりゅうぎり)

回転攻撃から杏寿郎の足元に滑り込むように動いて、間合いを詰める無一郎。

霞柱の怒涛の連撃を受けた炎柱は、肆ノ型で炎の壁を表出させると、流れるような動きで上空へ飛び上がった。

「参ノ型・気炎万象!!」

「(…!上からの攻撃…! 壱ノ型で相殺を…ダメだ、間に合わない!)」

片膝をついた姿勢で杏寿郎の木刀を受け止めた無一郎だが、先程の斬撃の際に木刀にヒビが入っており、木刀の側面のカケラのいくつかがパラリ、と落ちた。





「煉獄さんの力が強すぎて、本当にびっくりしました。僕の想定以上でしたよ。判断も速いですし…七瀬が強くなるわけですね」

「ははは、そうか! ありがとう。君の剣技も素晴らしかったぞ? 七瀬との勝負で理解してはいたが…実際剣を交えると予想の何十倍も実感した!」

炎柱と霞柱の対決は年長者である杏寿郎の勝利、となった。
今は玄関にて無一郎が煉獄家の男達に見送られようとしている所である。

負けてしまったが、無一郎の表情は非常に晴れやかだ。そこへ千寿郎が声をかける。

「あの、霞柱様…今日は兄と勝負して頂いてありがとうございました。それで…先程もお伝えしましたが…その…」

「千寿郎くん、だっけ」

「は、はい…!!」

もじもじとする彼に無一郎は明るい雰囲気で声をかけた。

/ 514ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp