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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第42章 霞が明けて、八雲は起きる



七瀬の聴覚は悪くはないと思うが…果たして心眼を使用していたとしても、悲鳴嶼殿が言った通り、柱である時透に通用するのかどうか。

しかし、この霞を打破するならば両目を開けた状態だと単純に難しい。むむむと眉間に自然と皺が寄る中、霞が少しだけ晴れて炎が一つ上がっていた。

「あれは…肆ノ型か!」

どうやら直前に放った技の後押しとして使用したらしい。熱風が庭一面に広がった霞を取り払い、七瀬と時透の姿がようやく確認出来た。

悲鳴嶼殿の予想通り、両目をつぶっていた彼女は確信した表情で瞳を開き、一歩前へ進んで時透に木刀を真っ直ぐと振り下ろした。

カン、カン、カン、カン———

攻めては払われ、攻めては払われる。必死で打ち込む七瀬を落ち着いた様子で受け流す時透だ。

伊黒と同じく、寸分の狂いもない剣捌き。しかし、七瀬も怯んではいない。

そのまま二人が打ち込みを続けていた所で、父上の声が響く。

「十分経ったぞ! ニ本目は引き分けだ!」

次の瞬間 —— 俺を含めた柱全員が思い思いに声を出し、庭中が熱気で沸いた。






七瀬と時透の対決は先程三本目が終わった——

所変わって、ここは煉獄邸の客間。柱達が集まり、皆が和気あいあいと食事をしている所だ。

「しのぶ姉さん、七瀬ちゃん…凄かったです…」

「ええ、私と手合わせした時よりも力をつけてましたね」

「南無……この炊き込みご飯は沢渡が作ったのか…とても美味いな」

「悲鳴嶼さんよゥ、おはぎも美味ェぜ??」


「……煉獄、沢渡は何処に行ったのだ。俺は言ってやりたい事が山程あるのだが」

「伊黒、すまん!俺も行方がわからん!」


「冨岡さん、今日も美味しそうに鮭大根食べてるわねぇ♡」

「……ああ、よく出汁が染みていて美味い」


「なあ、時透」

「…宇髄さん、どうしました?」

宇髄は右隣で好物のふろふき大根を食べている霞柱に声をかける。

「お前って継子相手でも容赦ねーよな」

「……別に普通ですよ」

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