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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第40章 霞柱との対戦に向けて



「あの、今日の任務後なんですが」

「どうした?」

「はい…」

顔を俯け、ほんのりと頬を赤くする七瀬だ。ふむ、であれば次にする発言は——

「お部屋に行っても良いですか?いえ、あの…何をすると言うわけではなく、杏寿郎さんと一緒に……」

“隣合って寝たい”


これは言葉に直接出す事はしなかった。その代わりにすぐ近くにある俺の左掌の上からそっと自分の右掌を重ねて来る —— のだが、顔を上に向ける事はない。

左手を胸に当てたまま、何やら気持ちを整えているようだ。

確か緊張した時に七瀬がする仕草であったな。であればこうしてみよう。
彼女の小さな顎をゆっくりと掴み、口付けを一度落とした。


「どうした?何か気になる事があるのか?」

「これが今朝届きました…」

「時透からの手紙か。俺が読んでも大事ないのか?」

「はい、大丈夫です」

どれ、と彼女から四つ折りに畳んである手紙を受け取って目を通す。そこにはこう書いてある。


【七瀬へ

元気にしてる?いよいよ明日だね。前も言ったけど、手加減なんてしないよ。全力で君を倒しに行くから、覚悟しててね。楽しみにしています。

時透無一郎】



「読んだ後、情けない事に震え上がってしまいました」

「なるほど」

時透は若年だが、このように食えない部分も持っている。納得した俺は文を七瀬に返し、掌で左頬をゆっくりと撫でた。

「だから杏寿郎さん……無一郎くんに挑む勇気を私に下さい」

「承知した」

了承の返答をし、己の額を彼女の額にコツン、と当てる。

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