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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第35章 心炎八雲、今宵も甘えて混ざりあって ✳︎✳︎



「背中に……しるし…つけて…下さい」

何とか自分の希望を伝えると、顔を綻ばせながら了承をしてくれる彼。

良かった、嬉しそう。
ほっと安心していた所へ、再度私の唇に届くのは杏寿郎さんからの甘い甘い口付け。


「ん……はあ……」

息をゆっくりと吐くと、後ろから包み込まれるように抱きしめられる。うなじに一つ口付けが落ち、はあとあたたかな吐息もかかる。

「よもや、君から求められるとはな」
「花…咲きました?」

回っている腕をそっと両手で掴むと、更にぎゅっと抱き込まれた。
杏寿郎さんの体って本当にあったかいなあ。
体温もそこから伝わってくる熱量も。

「ああ、いつもより綺麗に咲かせれたと思う。特に八つ目はな」
「ふふ、恥ずかしいけど…凄く嬉しいです」

『捌ノ型は自分の羽織の柄の八雲と掛けた』

これは先日彼と勝負をした後、伝えた事だ。
七瀬…と名前が呼ばれると、彼の方に体がくるっと動かされた。目が合うと日輪の双眸の目尻が柔らかく細まる。

「どうしました?…んっ…」

チリっと右胸の尖り近くに甘い痛みが走ると同時に、きゅっと与えられた心地よい刺激。

「……こちらも」
「はぁ…」

先程と同様に今度は左胸の尖り近くに甘い痛みと、気持ちいい刺激が届く。ゆっくりと彼の金色の頭が離れていくと、姿を現したのは二つの大きな赤い花だ。
左右の乳房に金柑一個分。これが一輪ずつ咲いている。

「…綺麗だな。もう少し水やりをしておこう」
「ん……」

二つの大きな花へそれぞれ柔らかな雨が落ちた後、唇にも雨が跳ねるような口付けがゆっくりと落とされた。

「これ…」
「どうした?」
「口付け…凄く気持ちいいから……たくさんして…」
「ああ、わかっている」

言葉にすると多くの口付けを恋人がくれた。日の光があたるような心地よさで、心と体が満ち満ちていくみたいだ。




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