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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第1章 緋(あけ)と茜の始まり



それから彼女の部屋まで案内をしてくれた。

「では何かございましたら、お申し付け下さい」
「ああ、ありがとう」

胡蝶に礼を言い、改めて引き戸に向き合う。コンコン、と二回扉を叩くと中から「はい、どなたですか?」と声が聞こえた。


「煉獄だ。入室しても良いだろうか」
「……炎柱様ですか?」

それからやや間があった後に「どうぞ」と入室を促す返事が返って来た。俺がゆっくりと引き戸を開けると、そこには ———

部屋には二人の少女がいた。やや赤く充血した目でこちらを見ている。寝台に座っている少女は俺がやって来た事に特に戸惑いの表情を見せた。

無理もないだろう。
今まで全く接点が皆無だった人物が訪ねて来れば、訝しげな反応をするのは至極当然の事だ。


「沢渡七瀬は君か?」

「はい………沢渡は私ですけど………」

俺が声をかけると、沢渡七瀬の背筋がピンと伸びた後、唾を飲み込む様が見てとれた。





「桐谷くんから言伝を預かっている」
「えっ……?」









「…………」
「…………」

沈黙が五分強、続いている。彼女と共にいた神崎少女は「大事な話のようだから席を外す」と言い、部屋を退室したので俺と沢渡少女の二人きりだ。

さてここから話をどう切り出そうか。そう思っていた矢先に彼女から声が発せられた。

「ご挨拶遅れて申し訳ありません。初めまして、炎柱様。沢渡七瀬です」

丸椅子に腰を下ろしている俺に顔を向け、沢渡少女はペコリと頭を下げてくる。


「煉獄杏寿郎だ」

俺は名前を名乗った後、まずは謝罪をした。

「休んでいる所、すまなかった。胡蝶から今日明日には目を覚ますだろうと聞いていてな。任務前に蝶屋敷に来てみたらちょうど俺が着いた時に目を覚ました……と。だからここに来た」


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