第31章 青柳色の君からの贈り物 〜さつまいもの甘味と共に〜
さつまいもプリンを皆(みな)で食べ終えた後は、七瀬と一緒に自室に戻って来た。
彼女がくれたスターチスは小さな花瓶に入れ、文机に飾っている。
「今夜は非番だが、君の予定は?」
「今日は任務になってしまいました。元気になった途端、応援要請が来て。栞さん…不死川さんの継子の方と討伐に行って来ます。明日の朝になるかもしれません」
「そうか…」
自分は非番でも七瀬は任務。逆の場合もある。
仕方がない事だが、誕生日と言う事もあるのだろう。
残念だ ——— 思った以上に自分の心情が言葉にのってしまった。
「ごめんなさい」と申し訳なさそうに言う七瀬に「気にするな!」と一掃した。
空気を変えよう。ふと気になる事が思い浮かんだのもあって、彼女にこう質問をする。
「所で七瀬は最近、階級を確認したか?」
「階級ですか?いえ、全く」
給金が少し増えたと先日言っていた。故に上がっているのではないかと思う。
「やってみます。えーっと”階級を示せ”」
七瀬が右手を握りながら少し力を入れると、筋肉が膨張して一文字の漢字が少しずつ浮かんで来る。
今、彼女の階級は戊(つちのえ)でちょうど中央の位置だ。
七瀬は浮かび上がって来た一文字を目にして、少し固まった。どうやら予想出来ていなかったようだ。右手の甲に出ていた文字は”丙”(ひのえ)である。
「うむ、やはり上がっているな」
「上がっていますね…二つ程」
鬼殺隊の階級は全部で十あり、丙は上から三番目の階級と言う事になる。
「これが……どうかしたんですか?」
「ああ、君に勝負を申し込みたい」
え、と彼女が戸惑いの表情を見せる。む? 伝わっていないのだろうか。