第29章 褒められ日和に、橙が咲く ✳︎✳︎

「今日も甘いな」
「だから…それは、控えて……下さい」


七瀬の愛液がべったり付着している人差し指を、チロリと舐め上げた。
彼女に見せつけるようにすると、いつも完熟したりんごのように頬が赤くなる。


「やめろと言われると、やりたくなるのだが」
「杏寿郎さん、からかうのは…んっ」


からかうなど、とんでもない。
君が可愛いから、愛でたくなるだけだ。文句を言えないように口付けで塞ぎ、ふっくらした唇をちうちうと啄んだ。


「七瀬は今日も可愛いな」
「………」

じとっとこちらを睨みつけてはいるが、嫌悪感は感じない。この困った表情が愛しくてたまらない。


「杏寿郎さん」
「どうした？」

彼女の両頬を掌で包んで、柔らかく撫でた。それからゆっくりと時間をかけて口付けをする。
とろとろと彼女の蜜壺から再び流れる雫が、自分の腿(もも)を濡らしていく。

「あっ、うン…」
「七瀬…どうしたい？」

頬を包んでいた掌を、乳房に移動させた。弾力がある膨らみの感触が両手に染み込む。

「言わないと、ダメ……なんです、よね」
「そうだな」

ちう、ちう、ちうと連続で乳房に吸い付いた俺は、そこに小さく咲いた赤い花を撫でた。
自分だけがここに触れる事が出来る。自分だけがここに花を咲かす事が出来る。

君もそんな独占欲を、たまには見せて欲しいのだが…。


「あなたのここを…入れて欲しい……です」
「承知した。が、場所はどこだ？」
「えっ…と、その…」

ずいっと顔を近づけてみれば、即座にそらされる七瀬の顔。
うむ、これ以上は難しいか。

そう判断した俺は彼女の右腕をゆっくり掴み、己の肉棒へと導いてやる。

「俺も君に体を触れられると、いつもここが反応するんだ。七瀬が欲している所にいれてくれ」