第29章 褒められ日和に、橙が咲く ✳︎✳︎

「……わかり、ました」

ふう…と深い呼吸を一つした七瀬は、掴ませた肉棒をきゅっと握り直す。

「んっ…」
「あ、ごめんなさい」

「いや、問題ない。心地良かっただけだ」
「安心しました…」


何度も体を繋げている彼女だが、毎回新鮮な反応を見せてくれる。
そんな所も無論好きだ。
七瀬が腰を上げ、ゆっくりと体を沈めると、二人の体がぴったりと合わさっていく。

恋人の膣壁は今日もあたたかい。
全て昂りが入ると、艶を帯びた息をついた七瀬。そんな彼女の唇をちうと一度吸った。


「杏寿郎さんは口付けが…好きなんですか？」
「そうだな、君とする口付けは凄く好みだ」
「んうっ」

ちう、ちうと再び彼女の唇を塞ぎ、最後にチロリと唇の周りを舐めあげた。

「気持ちよさそうだ」
「だって…あなたとの口付けはとっても心地いいですもん」
「俺もだ」

ふっと笑顔を互いに交わした後は、口付けで気持ちを三度(みたび)伝え合う。
唾液が口内で収まらず、口元からじわっと垂れると、どちらからともなく舌で絡め取っていく。


「七瀬、動かすぞ」
「あ……や、ん」

彼女の腰を両手で掴み、自分の下腹部に打ちつけると、擦れ合う結合部から水音が大きく響いた。
上下の入り口から流れ出る、互いの体液を混ぜ合い、馴染ませる。

パン、パンと二つの体が律動する度に汗が飛ぶ。

目の前には彼女の二つの膨らみがある。腰から乳房へ両手を動かし、ぎゅっと包んでやれば、口付けの合間に小さな鳴き声を聞かせてくれる七瀬だ。

「あ、んぅ……きょ、じゅさ……気も、ちいい」
「たくさん…触れてやる」


ここに吸い付きたい欲もあるが、それ以上に七瀬との口付けを味わいたい。俺達の口周りは互いの唾液で肌がふやけそうだ。

ちう、ちうと啄んで吸ってを繰り返していくと、恋人の中に入っている昂りがまた一段と固くなる。