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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第27章 よもやのわらび餅




「この型は茶道の所作も取り入れているのか?」

続いて発言したのは父だった。
七瀬は、柄杓(ひしゃく)を釜に置く際の動きを入れている。刀を対象物から引き抜く時が父の言う通り、茶道の所作だと言ってくれた。

引き柄杓(ひきびしゃく)と言う所作に、なぞらえているらしい。



「茶道の経験は?」

「ないんです。でも母がお茶の稽古に向かう際、何回か一緒に行った事があります。そういえば…と思い出して…」

「なるほど……」

顎に手をあててふむ…と父が腑に落ちている様子を見た俺は、自分も彼女に話を聞きたくなり、まず木刀を三本取りに向かった。


「七瀬、もう少し詳しく教えてほしい」

「わかりました。いつもと逆だからなんだか不思議な気分ですね。では、今お話していた引き抜く動きからで良いですか?」

「ああ、頼む」

父と弟へそれぞれ木刀を渡すと、七瀬による指導が開始された。小一時間程、自分達三人より次々に繰り出される質問。
やや戸惑いながらも懸命に教えてくれる彼女が、どこか誇らしい。







それから隊服に着替えた俺は七瀬の部屋を訪ねた。文机の前に座り、早速先程してくれた内容を書き記しているようだ。


「陸ノ型は突き技… 型名は心炎……」

彼女の右隣に座り、自分の意見も伝えながら共に記録帳へと記載していく。


「修復した炎柱の書でも、陸から捌ノ型はあまりハッキリと確認出来なかったようですね」

「そうだな」

故に父は今日の突き技を書き残しておくように…と指導終わりに彼女へ伝えていた。

「実は漆ノ型と捌ノ型もぼんやりとですが、思い浮かべています」
「本当に君はいつも俺の予想を超えて来るな」


何と! そうなのか。気持ちが高揚した俺は、七瀬の頭へぽんと己の掌を乗せる。



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