第26章 七十ニ時間分の恋慕 ✳︎✳︎

「ひゃっ……あァ」


ぴちゃ……と音を響かせながら割れ目を舌で辿られると、ビクッと体が揺れた。たったこれだけの行為で反応する自分の欲。
彼は気を良くしたようで、続けて愛撫を始めていく。


さっき震えていた太ももは、恋人の両手がしっかりと掴んでいる為に崩れ落ちる事はない。次々にとろりと溢れ落ちる蜜だけど、杏寿郎さんが舌と口で全て絡め取ってしまう。


「気持ち良さ、はっ……そうだな」

「あっ、そんな所で…やん、話さなっ……！！」


思わず右手が伸びる。触れた場所はさっきと同じ彼の髪だ。差し込んだ手にふわっと金色の髪が揺れる。

三日間恋人としての会話が出来なかった事も寂しかったけど、触れてもらえなかった事も寂しかった。私だけじゃなく、杏寿郎さんもまた同じように感じていたらしい。


「七瀬の、ここは…んぅ…とても素直だ」

「あ、や……ダメ……！」


ズル、ズルと際限なく溢れる愛液が吸われ、割れ目を丁寧に舐め上げられる。自分の体で留めておけない蜜は彼の口元をいやらしく濡らしていく。

ちう、と割れ目を吸い上げられた。ビクッと震える

「杏、じゅ、ろうさん？」

「もう脱がしてしまうぞ」

「あ……」

私が答えに迷ってる間に手早く紐が解かれ、バサっと寝巻きを落とされた。


「綺麗な体だ」

真っ直ぐに立つ自分を見てそう言ってくれるのは、もちろん杏寿郎さんだ。

「傷、それなりにありますけど……」


綺麗と言ってもらえるのはもちろん嬉しい。けれど照れ隠しもあって、そんな事を言ってしまう。だって背中だけじゃない。小さいものばかりだけど、少なくはないと思う。

「それも含めて、綺麗だと俺は思うぞ。傷は君が必死で鬼と戦った軌跡だろう？」


そんな風に言ってくれるんだ。嬉しい。