第26章 七十ニ時間分の恋慕 ✳︎✳︎
「はあ、もう、これ以上は……」
私は息を上げながら懇願する。しかし「三日分と言っただろう?」と彼に言われ、更に胸への刺激が強まる。
「あっ」
下半身が熱く、熱く疼き出した。
立ったまま、体を触れ合わせる。こんな経験がなかったので、足がガクガクと震え出す。
ん、ダメ…!立っていられない……。
ズル、ズル、と壁伝いにを擦りながら下に沈んでいく自分の体。
「……と、大事ないか?」
「足が痺れて……上手く立てません」
胸から口を離した杏寿郎さんが、咄嗟に体を支えてくれた。
「そうか」
嬉しそうに笑う彼。瞳には加虐心がほんのりと宿っている。
もう……まただ。不貞腐れる私の唇に一つ、彼からの柔らかい雨が降った。
「ん……」
「布団を敷いてくる。すまないが待っててくれ」
左頬が一回撫でられ、また一つ口付けが届いた。押入れから該当の布団を出し、畳に敷き終えると彼が戻って来る。
「立てるか?」
「はい……」
差し出された手を握ると、その場にぺたんと座っている私を立たせてくれた。
「その姿はなかなか悪くないな」
「えっ、あっ…やん」
恋人は自分の前にしゃがむと、寝巻きの裾をそっと左右に開いた。
熱がこもっていた両足に少しひんやりとした空気が触れる。
すると、両の太ももが上から下に向かって掌で撫でられた。
愛液がじわりじわりとまた滲む中、彼の顔が下腹部の入り口へ近づく。乾いている部分が殆どない下着がするりと脱がされると、杏寿郎さんの喉元から音が聞こえて来た。
狙われている —— そんな気分についなってしまう。
「嬉しいな、こんなになるまで求めてくれるとは」
「あなたに体のどこかを触れて貰うと…いつもこうなるん、です」