• テキストサイズ

沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第4章 茜の炎が芽吹く時


お館様と沢渡少女が会話を交わす中、俺は静かにその様子を見ていた。

「巧の事はとても残念だったね。本来ならここに来て鳴柱の襲名をしているはずだったのだけど」

「………」

「きっとみんなに慕われる鳴柱になっていたと私は思うよ」

「そのようにおっしゃって頂けて私も嬉しいです。ありがとうございます」

彼女がそう返答すると同時に、小さな肩がやや揺れ、目尻に涙がたまっているのが自分の位置からも確認出来た。

皆に慕われる、か。確かにお館様の言う通りだな。俺も彼の穏やかだが、芯の強い所は好きだった。
さて、そろそろ今日の目的を聞かねば。


「お館様、他の柱の姿が見えないようですが」

ここにやって来た時から感じていた疑問を当主に問う。すると……

「ああ、杏寿郎、実は先程もう柱合会議は済ませたんだよ。君には個人的にお願いしたい事があってね」

「……と言いますと?」

会議が終わった?そして個人的な頼みとは何なのだろう。脳内を疑問符が至る所から駆け巡っていく。


「七瀬、杏寿郎には話しているのかな?」

「いえ、申し訳ありません。行き違いがありまして……まだ……」

行き違いとは何だ?!
先程の彼女とのやりとりと関係しているのか。

「わかったよ。それじゃあ度々で申し訳ないのだけど、また日輪刀を見せてくれないかな?」

お館様は柔らかく微笑むと、沢渡少女へ抜刀するように促した。

「はい。それでは失礼致します」


日輪刀?………どう言う事なのだろう。
彼女はゆっくりと立ち上がると、腰にさしている日輪刀を静かに抜刀する。そしてそのまま両手で持ち、己の目の前に構えた。


「!……これは……」


/ 514ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp