第21章 可愛い君、かわいいあなた ✳︎✳︎
竿が包まれたまま、七瀬の手によって上下にゆっくりと動く。
「んっ……」
やや辿々しいが、丁寧な愛撫だ。
何より、俺を気持ち良くさせようとしてくれる…その気持ちが嬉しい。
ゆっくりとした動き、速い動き。どちらも心地よい。これ以上して貰うと求める欲が強くなる。そんな瀬戸際の所で、彼女の手を己の肉棒からそっと外した。
「もう…大丈夫だ。気持ちよかった」
「良かったです、ん……」
彼女の両頬を手で包み、また啄む口付けを始める。両腕が自分の首に自然と回る行為が嬉しい。
「七瀬との口付けは、んっ…本当にたまらないな。全く、飽きない」
啄む口付けがひと段落すれば、次は舌を絡め合う口付けだ。
しまった。
先程ギリギリの所で止めた為に、理性のタガが外れそうになって来る。
—— 互いの息と唾液が混ざり合う。
彼女との口付けは、先程も本人に伝えたように実に気持ちが良いし、心も満たされるのだ。
「私も杏寿郎さんと口付けするの、大好きです……よ?」
「七瀬??」
するり、と首から恋人の腕がずり落ちていく。
これは……のぼせてしまったのか!
「七瀬!! 七瀬!! 」
ぐったりとした彼女を抱き上げ、急いで湯船から出た俺は、脱衣所から弟を呼んだ。
五分後、千寿郎に続いて何と父まで姿を現した。
「兄上、七瀬さんは……と!! 」
「ああ、のぼせてしまったようだ。不甲斐ない、俺がついていながら……父上? どうかされましたか?」
「……いや、何でもない。杏寿郎、とりあえず七瀬さんの体を拭いて服を着せてやれ。千には少し刺激が強い。彼女の部屋に布団を敷いておくから、終わり次第直ぐに声をかけろ。また二人でここに来る」