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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎



「綺麗な神社だね」

「……ああ、そうだな」


二人の目の前には水色の瓦屋根に、赤を基調とした社殿が見える。
炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助の姿はそこにはなく、杏寿郎と七瀬はゆっくりと社殿に向かって行く。

ザッザッザッ…とそのまま歩いて行くと、あっという間に社殿に辿りついてしまった。


「ねえ、杏寿郎」

「どうした、七瀬」


炎の柱は先程から感じている小さな違和感を確定させると、鞘を左手で掴み、鯉口を静かにゆっくりと切る。


『間違いないな、彼女は……』


「ここからは私一人で行きたいから、あなたは引き返して良いよ」

にっこりと可愛らしい笑顔で、炎柱に笑いかける七瀬。しかし、杏寿郎はそれに応えない。


「どうやら君は俺が知っている七瀬とは随分と違うようだな。何者だ?」


「やだな、刀しまってよ。危ないじゃない」

じわっと涙を両目に滲ませる七瀬だが、日輪刀の切先を向けている杏寿郎に迷いはない。


「もう一度問う、お前は誰だ。俺を七瀬の姿で惑わせても無駄だぞ」
















「……なんだよ、お前ら恋人同士じゃねーのかよ」


七瀬の姿をした”何か”は、先程までの口調とは様変わりをし、ぞんざいな言葉遣いで炎柱に問いかけて来る。嫌悪感をこれでもかと滲ませる双眸は、既に縦に瞳孔が割れていた。


「確かにそうだが、親しい間柄でないとわからない事が多々あってな。残念ながら調査不足だ。七瀬は俺にいつも敬語を使うし、呼び捨てにする事もない!!」


「本当に腹が立つやろーだぜ。しかもうざったい」

「うむ! 奇遇だな、俺も君に大層腹が立っているぞ!」


七瀬の姿が一瞬だけ炎に包まれると、その者は真の姿をようやく現した。



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