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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎




「そうか、それは残念だな。では……」

蛟(みずち)の周りに水流が彼を取り囲むように現れた。

「血鬼術——」
「螺旋天上(らせんてんじょう)」

水流が螺旋のように回りながら、術名通りに天に向かって上がっていくかと思いきや、その水流は七瀬目掛けてまっすぐに向かう。


「水の呼吸・陸ノ型」
「—— ねじれ渦」

炎の継子が使用した呼吸は水。

刀身は茜色から空色に変化した。七瀬は陸ノ型を放つと、体全体を使ってねじり、その水流を絡めとるように竜巻のような渦を出した。


「……!」

蛟(みずち)の頬をねじれ渦がかする。血が滲むが、すぐにスウ…っと消えていく様子は鬼と同様で、再生能力があるようだ。


「気にいらんな。かくなる上は……」

青い蛇の周辺を囲っている水流が、益々うねりを増していく。

『………来る……! 備えなきゃ!』



「血鬼術 —— 水風雨飛(すいふううひ)」

「拾ノ型・生生流転!!」

雨が風に吹かれて激しく降るように。蛟が放った水流が威力を増して、七瀬を襲う。

水には水……!彼女はうねる水龍のごとく。一回、二回、三回、と回転しながらその水の流れを押し返していった。


「ん……!!」

すると水流の中から、小さな蛇らしき物体が向かって来るではないか。ひゅっと叫びそうになったが、七瀬は落ち着いて日輪刀で弾いて行く。

続けて漆ノ型の”雫波紋突き”を蛇鬼の頸目掛けて放つ ——- が、蛟は体を後ろに引き、それを回避した。


『あと少しだったんだけど』

『この娘…… なかなか手強いな』

お互いが距離を取って着地する。七瀬は呼吸で息を整えているが、蛟は肩で息をしていた。


『よし、次で……』

彼女がスウ…と呼吸を整え、次の型を放とうとした瞬間。
男はその場からフッと姿を消してしまい、七瀬の日輪刀は空を切った。


「消えた………?」

彼女が首を傾げていると、あの気持ち悪い感覚が軽くなっている。

『あ、空気もさっきより澄んでる……!杏寿郎さんを探さないと……』

七瀬は日輪刀を鞘に納めると、境内の横を通り抜けて周辺を散策し始めた。




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