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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎




『あれ? なんかおかしい……』

…………………!!

ハッとした七瀬は日輪刀の鯉口を切って抜刀すると、目の前の人物から素早く距離を取った。


「どうした? 気でも狂ったか? 何故俺に刃を向ける…」

「あなた、誰?」

「何を言っている、俺だ。お前の……」

「杏寿郎さんは私を呼ぶ時にお前なんて言わない。いつも”君”って呼ぶの………!!」


先程から彼女が感じていた違和感がこれだ。ギリ……と刀を持つ手に力が入ると、七瀬の目の前にいるその人物は、興味を失ったように肩をすくめる。


「…ふん、つまらん。そのまま騙されていれば良かったものを」

ふう……と息が男の口からはかれると、杏寿郎の姿が顔・体・足と上から順番に変化していく。


「お初にお目にかかる。我の名は蛟(みずち) 夕葉様の命により、娘。お前を捕らえに来た」

「夕葉……?」


眉をひそめた七瀬の目の前にいるこの男は、人間ではなかった。


背の丈は杏寿郎より少しだけ高く、百八十センチと少し。
群青色の短髪に、同じ色の双眸。
着衣は白と紺が横に交互に混ざった長袖の羽織を素肌にはおっており、下は紺一色の袴。足元は裸足。


左頬に紺色で蛇の形をした痣のようなものがあり、顔立ちは精悍と言った印象。そして長い尾の先に繋がっている1匹の蛇の頭。
まるで八岐大蛇が分散し、人の姿形をしているようだ。



「夕葉って誰?」

「我の主だ。しかし、お前に話すような事ではない。娘、さっさと来い。手荒な真似はしたくない」

「行くわけがないでしょう! そこをどいて。先に進みたいの」


彼は七瀬に向かって大きな右手を差し出すが、彼女は茜色の刃先を改めて、目の前の敵に真っ直ぐと向けた。




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