第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎
「はい!」
「はい!」
「おぅ!」
炭治郎、善逸、伊之助がそれぞれ力強く返答した。
「ムーン」
禰󠄀豆子は七瀬に向かって両手を広げて来る。その可愛らしい姿は七瀬の胸をきゅんと、心地よく跳ねさせる物だ。
ぎゅう……と自分より少しだけ小柄な体を抱き締めた後、よしよしと炭治郎が禰󠄀豆子によくやるように。
ゆっくり頭を撫でると、禰󠄀豆子は七瀬に可愛い笑顔を見せてくれた。
「では行くぞ!」
二手に分かれて、杏寿郎と七瀬は左を、炭治郎達は右に行く事になる。全員で灰色の鳥居をくぐると、嫌な空気が体に纏わりつくような……そんな感覚を皆(みな)が体感する。
『ん……なんだろう、これ』
七瀬は鳥肌を立てながらも、すぐ側にいる杏寿郎の姿を確認しつつ、足を進めた。
『あ、消えてくれた。ちょっと気持ち悪かったな』
嫌悪感がようやく無くなった七瀬と杏寿郎は、気がつけば社殿が後十メートルあるかないかの所まで歩いて来ていた。
「綺麗な神社ですよね」
「ああ、そうだな」
二人の前には水色の瓦屋根に赤を基調とした社殿が見える。
炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助。四人の姿はそこにはなかった。
『無事でいてね、みんな……!』
杏寿郎と七瀬はゆっくりと慎重に、社殿に向かって歩いて行く。
ザッザッザッ…と足音を少し鳴らして足を進めると、歩いて行くとそこに着いた。
『うん、やっぱり綺麗な神社だなあ。見惚れちゃう』
「七瀬」
「どうしました?」
杏寿郎が七瀬の名前を呼んだ。彼女は彼に応えたのだが…。
「ここからは俺一人で行く。お前は来た道を引き返しなさい」
「え………どうしてですか?」
「危険だからだ」
「いや、それを承知で私来てるんですけど…。杏寿郎さんも了承してくれたじゃないですか」
小さな違和感が、七瀬の疑問を増長していく。