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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎




「申し訳ありません……煉獄家に配属になって、ヒック! 嬉しい事ってたくさんあったんですけど……自分、今日が1番嬉しいです………グス…」

その後も内田は人目も憚らずに泣き続けた。

「内田、本当にすまない」

「いえ、これは…嬉しい涙ですから…! お気に、なさら……うっ」


このやりとりを二人のすぐ近くで見ていた七瀬は、もらい泣きをしそうになった。
その為、杏寿郎に手ぬぐいを取ってくる旨を伝えて一旦家の中に入る。


そして彼女が再び庭に戻ると ———
杏寿郎と槇寿郎以外の男子が全員涙を流しており、目を丸くする七瀬だった。


『多めに持って来て良かった…』

千寿郎、炭治郎、善逸。
そして実際の涙は被り物で見えない伊之助の順番に手ぬぐいを渡して行くと、皆が鼻を噛んで再度涙を流していく。


朝から良いものが見れた。
七瀬は自分の心が気持ちよく癒されていくのを、まざまざと感じていた。


それから尚も涙を流し続けた内田は、十分後にようやく涙を流すのをやめた。

今夜の任務についての確認事項を済ませた後は「本当に本当に良かったです……」と何度も言いながら、煉獄邸の中に入って行ったのである。




そして —— この後の朝食はどうだったと言うと。


朝日二つは、杏寿郎と槇寿郎。
白日一つは千寿郎。
日輪の双眸は四つから二つ増えて六つに。


七瀬は三つの輝く太陽が仲良く食事をする様子を見る。
すると、自分の心がその三つの太陽に照らされているかのように、じわりじわりとあたたかな気持ちでいっぱいになった。


「父上。今日のだご汁は俺が作ってみたんです! いかがですか?」

「確かに千寿郎の味付けだ! また腕を上げたな」

「ありがとうございます……」


「杏寿郎! お前のだご汁はさつまいもだらけだな」

「はい! 俺はこのだご汁に入っているさつまいもが特に気に入っていまして……わっしょい!!」

「これも相変わらずだな……」


『本当に良かった、またこうして親子が触れ合えるようになって』
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