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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎





再び金曜日の朝、ここは煉獄邸の庭である。


「千寿郎!足底だけではなく、膝も意識しろ! 集中だ!」
「はい! 父上!」

七瀬、炭治郎、善逸、伊之助が竹刀で素振りをしているすぐ横で、千寿郎が槇寿郎の指導を受けている。

炎の呼吸には欠かせない、踏み込みの鍛錬だ。七瀬と杏寿郎も基礎運動として、毎回必ずやっている。

槇寿郎も千寿郎も嬉しそうだ。
七瀬がそんな微笑ましい気持ちで二人を見ていると「こら」と額を優しくこづかれる。


「ん……すみません」
「七瀬の気持ちはよくわかるが、稽古には集中!」
「はい、師範」

「む…久々にそう呼ばれると新鮮だな」
「お二人を見てたら、久々に呼びたくなってしまいました」

「そうか…沢渡少女」
「あはは、そう呼ばれるのも懐かしいです」


彼女は杏寿郎と笑いあった後、再び竹刀を振り出す。今夜は大蛇退治である。より一層気合を入れて素振りに励んでいると……


「おはようございます、炎柱様!」
「おはよう、内田くん!!」

「今日は凄く賑やかだなあと思ったら……ええっ??槇寿郎様??ゆ、夢じゃないんですよね?? もしかして千寿郎様と稽古を?!」


背中には「隠」の一文字。
目元が見える頭巾を被り、隊服を着ているこの人物は煉獄家専用の隠。

名は内田亮。彼は驚いてその場に固まってしまった。それも無理はない。

内田がここ煉獄家にやって来た時期はおよそ二年前。槇寿郎がちょうど自室に引き篭もっている最中だったのだから。

元・炎柱は酒に溺れたあげく自堕落への道を突き詰めており、彼への態度も決して良くはなかった。


「おはよう、内田。間違いなく俺だ。安心してくれ! それからすまんな、お前にも長い間酷い態度で接してしまった……」

槇寿郎が申し訳なさそうに言うと、内田は今までの思いが昂ってしまい、下を向いて泣き出す。


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