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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎









木曜日の夜、二十一時。赤坂氷川神社にて…

境内の中には無数に転がる女、女、女の死体。いずれも死んでから間もない遺体ばかりだ。

その中から長身の男が現れ、一人の女の体から一部分をブチっと引きちぎり、手に持って眺める。

肘から先だけの細く白い右腕だ。
男は手首から掌を舌で辿ると、その先にある繊細な指を一本口に含んだ。


鋭い鬼の牙で、肉と骨がバキバキと噛み砕かれていく。
指を全て食した後は、残りの部分だ。
彼の口の周りは赤黒い血液で染まっており、時々それを指の腹と舌で拭い取って再び女の血の味を堪能する。


「……美味いな。やはり十代の女は血の鮮度が違う。お前達は優秀だな。美味い女ばかり捕らえて来る。流石だ」

鬼の夕葉は続けてその女の足首を引きちぎりながら、目の前にいる八つの頭を持つ大蛇に話しかける。


「来たる明日。俺が最も喰いたい女がここにやって来る。七瀬は俺の獲物だ、丁重に扱うように。あいつ以外は好きにして良い。頼んだぞ」

大蛇は夕葉に頭を下げると、神社の裏手にズル…ズル…とその大きな体を引き摺るようにしたのちに、フッ……と姿を消した。


『さて……俺はもう一仕事しておくか』

持っていた女の足を全て喰い終わると、両方の掌から丸い光をボゥ……と出す。そして両手を伸ばした。


「血鬼術—— 幻炎の真宵(げんえんのまよい)」

神社全体が青白い光りで覆われたが、すぐにまた元の空間に戻った。


「よし、こんなもんだろ。さて、この三つを抜けられるか? 心・技・体……剣士にはどれも欠かせないよな? 七瀬」


夕葉は腕組みをしながら、満足そうに神社の境内を見て呟く。



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