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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第18章 始まりは日であり、炎は派生である 〜元炎柱・煉獄槇寿郎〜




『同居している後輩隊士にカステラを全部食べられて、取っ組み合いの喧嘩をしました』

以前七瀬と文のやり取りをしていた時に聞いた、後輩隊士と言うのがこの猪頭少年だ。

先程湯浴みを済ませた為、通常顔を覆っている猪頭は被っておらず、少女のように小顔で綺麗な顔がそこにある。七瀬から聞いてはいたが、実際にこうやって間近で見ると不思議な気持ちだ。


余談だが、猪頭少年は彼女のカステラを全部食べたあの日から、元々の好物である天ぷらと同じくらい、カステラの事を気に入ったようだ。とにかく食べるのが速い。


「伊之助!一人で全部食べようとするな!……また七瀬が怒るぞ」

「そうだよ!あの時、俺と炭治郎で止めるの、すっげー大変だったんだからな!」

猪頭少年の右隣にいる竈門少年と、左隣にいる我妻少年がカステラを巡ってじゃれ合う。


そんな三人のやりとりを微笑ましく見ながら、七瀬はカステラを一切れ、口に含んだ。

「美味しい……!!」

うむ、良い表情だな! このまま恋人の愛らしい様子を見ていたいが、残念ながらそうはいかない。


「カステラ争奪戦も結構だが、そろそろ本題に入っても良いか?」
「あ、はい……」

竈門少年と我妻少年が途端に手を止めて姿勢を正すと、猪頭少年も 「仕方ねぇな」とカステラを飲み込み、彼なりにではあるが姿勢を正してくれた。


「今回の任務について、君達の意見を聞かせてくれ」





俺の元に届いた今回の任務の内容は以下の通りだ。
氷川神社の付近で、夜な夜な若い女子 ——十代半ばから後半に該当する人達ばかりが襲われている。これにより参拝が減少した為、神主の方達が大変困惑していると言う。


襲う鬼の特徴。
八本の頭に八本の尾を持った、日本神話さながら。

「八岐大蛇(やまたのおろち)」を彷彿とさせる怪物、との事だ。




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