第18章 始まりは日であり、炎は派生である 〜元炎柱・煉獄槇寿郎〜
「だから日本神話になぞらえて、岩戸の外にいる私達が楽しそうにしていると、槇寿郎さんも外が気になってお部屋から出て来るのかなあ?なんて、思うのですが……」
七瀬はこれ以降黙ってしまった。考え事をしているようだが、食べ物は口に運んでいる。
それにしても彼女が作るだご汁は本当に美味いな!
「わっしょい! わっしょい!! うまい!!!」
「兄上のわっしょいを聞くと、俺凄く元気になるんです」
「そうか! 最近何人かに同じ事を言われてな。俺も嬉しかったんだ。千、すまんがおかわりを頼む」
「はい、俺もまだ食べます!!」
千寿郎は一回、俺は三回おかわりをした後、ようやく七瀬の目の焦点がこちらを捉えた。かなり集中して思案していたようで、俺達がおかわりをした事に気づかなかったらしい。
「ごめんなさい。遅くて……」
「俺達が食べ終わったのは、ほんの五分前ぐらいだ。気にするな」
「ありがとうございます」
「それから、七瀬のいう通りかもしれない。何事も暗い気持ちでいるのが一番良くないからな」
「はい……きっとそうですね」
「ごちそうさまでした!」
三人の声が綺麗に重なり、本日の朝食は終了した。
その後は昨晩届いた任務の伝達を七瀬に伝えねばならない為、片付けが終わり次第自分の部屋へ来るように頼んだのである。
十五分後、書面を改めて確認している時に襖の外から声をかけられた。
「杏寿郎さん、七瀬です。入ってもよろしいですか?」
「ああ」
スッ……と襖を開くと、静かに入室して来る彼女だ。
「杏寿郎さん?それは……?」
俺の右横に座り、そこから覗き込むようにして文面を確認する七瀬に任務だと告げると ——