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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第16章 晴れた霞に心炎嫉妬をする、の巻。



それから五分後、七瀬は時透の好物であるふろふき大根が入っている小鍋を持って来た。

「はい、これ。よろしければどうぞ。少なくなっていたので持ってきましたよ」

「……」


この会話は聞き取れた。しかしここから先はよくわからなくなる。
何故なら ———


「よっ! 煉獄どうしたー?」
「……君か」

向かい側に座っていた宇髄がニヤリと笑いながら、七瀬が座っていた座布団にあぐらをかく。
宇髄は色恋に大変聡い。だから事の次第を把握してここにやって来たのだろう。


「お前、ほんっとわかりやすいのな。ここ、すっげー皺寄ってんぞ?」
「む…! 」

右人差し指で眉間を二回柔らかく突かれた。


「あの超絶他人に無関心な時透が、胡蝶と沢渡の試合に釘付けだったわけだから、そりゃまあ……気になるわな」

「……君は審判だったろう! 真面目にやってくれ」

「仕方ねーじゃん! あいつの心音、バカデカくてよ。 流したくても勝手に聞こえて来るんだぜ? それで公平な審判をした俺を労ってくれても良いんだけど」

「そうだな。君の言う通りだ……」

自分で言うのも何だが、説得する力は割合持っている方だと思う。
“ 柱たる者、一般隊士の手本であれ” これは長年鬼殺隊に根付いている理念だ。

それ故に諭す立場、説得する立場になる事も多い。
しかし、この友人を前にするとそういった物があっけなく崩れてしまう。

宇髄が自分に対して、忌憚なく。そして気軽に接してくれる為だ。
もちろん” 柱” としての責任をこの身に背負っている時は、俺も自身の意見を彼に伝える! これは当たり前だ!!



「しっかし、あいつらなかなか合ってんじゃね?雰囲気とか似てる気もするぜ」

「……そうか? 俺はそうは思わないな」


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