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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第15章 紫電・心炎の想い / 八雲の踏み込み・蟲の戯れ




これにしのぶが反応する。
よし、と自信を確信に変えた七瀬は一度自分の動きを止めた。

蟲柱が「え……」と戸惑った瞬間 ——
彼女の木刀に連撃を入れたのだ。左右一回ずつに薙いだ太刀を。

筋力が強くないと言うしのぶには、筋力が倍に必要な壱ノ型の改を。そして七瀬は動きを一拍ずらし、不知火の連撃を入れた。これが、彼女の考えた戦術だ。

読み通りに蟲柱の体が傾いた瞬間、七瀬は更に動く。

『今だ! 絶対にここを逃しちゃダメだ!』

瞬時に呼吸を炎から水に切り替えると、上昇していた体温がすうっと温度を下げた。


「水の呼吸・漆ノ型」
「 —— 雫波紋突き!!」


これは水の呼吸で最速の突き技である。
しのぶの左肩に鋭い刺突が叩き込まれると、蟲柱は先程の七瀬と同じように、顔を歪めて片膝をついた。


「沢渡、一本! なんだよ、お前!! 最初からそう言うの出せ!」

天元が七瀬を見て、ニヤリと笑いながら言った。

「ようやく面白くなって来たじゃねーか。じゃあ最後の休憩な」











「最初からあれが出来れば、君は言う事がないのだが」
「はい、自分でもよくわかっています」

七瀬が手拭いで顔の汗を拭いていると、杏寿郎が側にやって来て言葉をかける。
長年染み付いた癖と言うのは、なかなか消え去ってくれない。彼女は話をしながらその事を噛み締めていた。


「さて、最後の三本目だな」
「はい……」

竹筒に入っている水をゴク、ゴク、と飲み込んだ後、ふう…と息をついた七瀬は杏寿郎と向き合う。


「七瀬」
「はい」

師範はニコッと笑いながら、継子の肩に両手を乗せた。


「肩の力をもう少し抜け」
そして、七瀬の肩を揉み始める杏寿郎である。


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