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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第15章 紫電・心炎の想い / 八雲の踏み込み・蟲の戯れ




「でもありがとうございます。少し気持ちが軽くなったかもしれません」

「勝負は時の運とも言う。今の君のように肩の力を抜くのも大事だな!後はあまり気負いすぎない事。これが一番自分の力を発揮しやすいのではないか?」

「はい……」

激励されて嬉しくなった七瀬は、杏寿郎の体にぎゅうっと抱きついた。が、すぐにパッと離れる。

「なんだ、もう離れてしまうのか」
「すみません、まだ柔軟の途中でした」

稽古が終わっていないのに、公私混同を反省した彼女は謝罪をした。


「ん?もう柔軟は終わっているだろう?」

杏寿郎が七瀬にグッと顔を近づけると、彼女は瞬時に顔を赤く染めた。


「稽古は終わりだ。七瀬」
「ん……」

師範から恋人へ。
表情を変えた杏寿郎からの口付けを受ける七瀬は、心臓を心地よく跳ねさせる。


「頑張れ、君なら大丈夫だ」
「はい!ありがとうございます、杏寿郎さん」



















「蟲の呼吸・蝶ノ舞」
「 —— 戯れ」


「……ん!!」

ふわっと蝶のように空中へ舞ったしのぶは、身軽な動きで七瀬を混乱させた。

後ろへの宙返りを経て顔を前方に向けた次の瞬間。
七瀬の目には追えない速さで、見事な突きを彼女の右肩に入れる。それも複数回、である。



『……いたっ!!』

じんじんと熱を持ったように、突かれた箇所が痛む七瀬は苦痛で顔を歪めた。


「胡蝶、一本!なんだよ、あっけねぇ。おい、沢渡!もう少し根性見せろ!」

天元はちっと舌打ちしたのち、ため息をつきながらつまらなさそうに言う。


自分の予想を超える速い動きに驚いた七瀬は、ガクッと右膝をついた。まだ一本目だと言うのに、彼女の体はだいぶ熱を発しているようだ。


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