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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第14章 緋(あけ)と茜を繋ぐ下弦の月 ✴︎



今、俺といる彼女は鬼狩りではなく、ごくごく普通の女子。
自分の為に外見を着飾ってくれたり、俺が髪を結んでほしいと頼めば嬉しそうにやってくれる。


日常の七瀬が普段の俺に与えてくれる気持ち、と言えばいいだろうか。鬼殺以外の彼女の日々。
それらは恋人の自分が守るべき物。大事にしなければいけない事なのだろう。

そんな事を思案していたら、繋がれている七瀬の手がより一層愛おしくなった。


「君の手は本当に小さいな」
「ふふ」
「どうした?」
「いえ、考えを読まれたのかと思って」

感心したような、困ったような笑顔を見せる七瀬にこう告げる。

「今のは違うぞ」
「そうなんですね。どうしてこんなに一致する事が多いんでしょうか……」


「うーん」と右手を顎に当てて唸る七瀬である。さて何故なのだろうか。考える事五秒と少し。
ピンと来た俺は「ああ」と呟き、彼女の耳元に口を寄せる。

これを君以外に聞かせるわけには、いかないからな。



「深く繋がったからではないか?心と体が」
「!!」

瞬時に顔を真っ赤に染める七瀬だ。予想通りの反応である。


「杏寿郎さん、今はもうお昼に近い時間ですよ?」
「ははっ、すまん!そうだったな。だが……」

今度は彼女の顔に自分の顔を近づけてみる。パチパチと瞬きの数が多くなる七瀬だ。

普段は心の深い場所へ隠れている加虐心。これにポッと火がつく。


「俺は夜はもちろん朝でも昼でも、いつでも君と繋がりたいと思うがな」

そして彼女の顎を柔らかく掴み、掠め取るような口付けをゆっくりと落とす。すると「もう!!」と更に顔を赤く染めた七瀬が俺の胸を1度平手で柔らかく叩いた。

「七瀬、悪いがその顔は全く怖くないぞ」

ジロっと上目遣いで睨んでくる恋人が本当に愛おしい。俺はくつくつと笑ってしまう。

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