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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第14章 緋(あけ)と茜を繋ぐ下弦の月 ✴︎



「あれ?完全に君の目が再生してるじゃないか!! 凄いねぇ! 実は君に初めて会った時から薄々感じてたんだけど……俺達の血の質って近いんだね。何だか凄く力が増した気がするよ」

「そう、ですね」

ゆっくりと童磨の眼球を咀嚼して飲み込んだ夕葉もまた、似たような事を思っていた。


「夕葉は一見扱いにくいけど、きちんと話をしたらわかってくれるんだね。俺も君が気に入ったよ。次は一週間分の心臓を喰った対価を貰わなきゃね」


童磨はお気に入りの玩具を愛でるように、腰まで伸びた夕葉の銀色の髪を撫でると、長い指先を茜色の双眸に伸ばした。


「今日は後何回この極上が味わえるのかなあ。とっても楽しみだよ」

ぐちゅ、ぐちゅ、と上弦の鬼は下弦の鬼の瞳を二つもぎとると、うっとりと目を細めてそれらを口腔内に入れた。






「ああ、とっても美味いなあ。夕葉これからも頼むね」
「はい、童磨様」



二人がいる部屋に、月明かりが柔らかく入り込む。
夜空に浮かんでいるのは、黒い雲に覆われ始めた下弦の月。しばらくすると月は雲によって完全に隠れてしまい、やがて冷たい雨が降り始めた。



































「七瀬、すまない。頼みがあるんだが…入っても良いか?」
「はい、どうぞ」

彼女と思いが通じ合って一週間後の朝。今日は七瀬と初めて出かける事になった。


「わあ、杏寿郎さん! 今日は濃紺なんですね。とっても素敵です」

襖を開け、彼女の部屋に一歩足を踏み入れると最初に言われた事がこれだ。

「そうか? ありがとう。千寿郎の勧めでな。これを着たらどうかと言う事だった」

「千寿郎くんは本当によくお兄さんの事をわかっていますよね。流石です」

だそうだ、千!
恋人がお前の見立てを大層褒めてくれたぞ。これを着用するよう進言した弟に改めて感謝をした。



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