第13章 浅緋(あさあけ)、君に口づける ✳︎✳︎

「七瀬………」
甘くて低い彼の声。囁くように名前を呼ばれると、体の芯がドクン！……と跳ね上がる。


「……もっと名前、呼んで下さい」
「ねだるのが昨日より上手くなったな」

杏寿郎さんは口付けを一旦やめると、嬉しそうに私の唇を親指でツツ……と2回左から右へと往復した。


「好きな人に名前を呼ばれると、ここがすごくあたたかくなるんです」

自分の心臓を人差し指でトントン、と指す。


「だからたくさ………んぅ」
「七瀬……七瀬……大好きだ」

お願いする途中で、彼の唇が私の名前と共に届いた。
絶え間なく口付けを与えてくれながら、その合間に名前を連続で呼ばれる。体の芯が更にあたたまっていく。


「杏寿郎さん、好きです………大好き」

自分も彼の名前を呼んで、素直な気持ちを伝えた。
ぴちゃ、と水音がたくさん響く中、大きな掌が私の胸を撫で、胸の尖りを掴み、おへそへと滑っていく。

はあ………気持ちよくてもう……蕩けそう。



「昨夜の君は本当に綺麗だったが、朝の君もそれは変わらない…いや、俺とこうして肌を触れ合わす度に、思いを伝える度に……綺麗さが増していくのだろうな」

「そうなんですか？」

「ああ。宇髄が奥方達の事をそのように言っていたのが今はよくわかる」


なるほど、宇髄さんか。確かに彼の奥さんは三人共、綺麗だ。
それから杏寿郎さんが、私のおでこに一つ口付けを落としたのを皮切りに両瞼、鼻、両頬、と口付けの雨を降らせた。


「今朝の君もとても綺麗だ……昨夜より遥かにな」


また私を甘々に蕩けさせるような事を言う彼だ。
口、首、鎖骨、胸、蕾、おへそ、と熱くなった唇でなぞった後は、そのまま下に下に滑らせていく。

昨日と同じようにたっぷりと潤っている蜜壺に彼が辿りついた。


「相変わらず、ここは潤っているな」
「あ……ぅん」

指で入口を少し開かせながら熱い舌でじっくりと堪能される。
それから蜜を思い切り吸われてしまう。